最大心拍数計算 Maximum Heart Rate Calculator

最大心拍数計算は、「安静時心拍数」と「年齢」を入力するだけで簡単に「最大心拍数」が計算できるツールです。「目的別」による強度ごとの「目標心拍数」も表示されます。
使い方
- 「年齢・安静時心拍数(RHR)・性別・(任意で)実測HRmax」を入力します(初期値:年齢40/RHR60)。
- 「HRmax推定式」を選びます(例:208 − 0.7×年齢〈Tanaka〉など)。実測HRmaxを入れた場合はそちらが優先されます。
- 「計算法」は カルボーネン法(%HRR + RHR) が初期設定です。%HRmaxに切り替えも可能です。※カルボーネン法はRHR入力が必須。
- 「目的別プリセット」を選ぶと、その%レンジ(例:70–85%)が反映され、スライダーの中央値に自動設定されます。
- 強度スライダーで%を調整すると、入力と同時に計算が走り、目標心拍数(現在設定)が即時更新されます。
- 出力エリアに「推定HRmax(式別比較)」「HRR(HRmax−RHR)」「目標心拍数(50/60/65/70/75/80/85/90%)」が表示されます。
- 選んだ目的に合わせた「目標心拍数(下限・中央値・上限)」が自動生成されます(プリセット反映)。
- 「トレーニングゾーン(Z1–Z5)」の%範囲とbpm、帯グラフ上の現在位置マーカーが表示されます。
- 入力が範囲外(年齢10–100、RHR30–120、実測HRmaxはRHRより大・上限230)だった場合はエラーが表示され、修正を促します。
- 注意:算出値は推定です。高強度の運動や持病・服薬時は医療専門家に相談し、暑熱・脱水・高地では心拍が上振れしやすい点に留意してください。
最大心拍数とは?
最大心拍数(HRmax)とは?
最大心拍数(HRmax)は、全力運動でその人が理論的に到達できる心拍数の上限です。運動強度の設計(インターバルの設定、トレーニングゾーンの区切り、目標心拍数の算出)で“ものさし”として使います。
1) 定義と役割
- 定義:特定の条件下で、安全に持続可能な最大全力を出したときに記録される最高心拍数(bpm)。
- 役割:
- %HRmax(最大心拍比)で運動強度を指示(例:70%HRmax)。
- カルボーネン法(%HRR + RHR)で個人差(安静時心拍数)を加味した目標心拍を算出。
- トレーニングゾーン(Z1〜Z5)の基準。
2) 算出方法(推定式と実測)
A. 推定式(手軽だが誤差あり)
年齢だけで概算します。いずれも“平均的な母集団”からの近似なので±10〜12bpm程度の個人差は珍しくありません。
- 220 − 年齢(簡易)
- 208 − 0.7 × 年齢(Tanaka)
- 207 − 0.7 × 年齢(Gellish)
- 211 − 0.64 × 年齢(Nes)
- 217 − 0.85 × 年齢(Miller)
推定式の()内は何?
括弧にある Tanaka / Gellish / Nes / Miller は、その推定式を提示した研究の代表著者(第一著者)名です。いずれも「特定の被験者集団」をもとに統計モデル(回帰式)で HRmax と年齢の関係を近似したもので、対象や手法の違いから係数が少しずつ異なります。
- 220 − 年齢(簡易):研究名の付かない古典的な近似式(経験則)。
- 208 − 0.7×年齢(Tanaka):Tanaka らの研究に基づく近似。一般成人に広く使われる代表式。
- 207 − 0.7×年齢(Gellish):Gellish らの研究に基づく近似。
- 211 − 0.64×年齢(Nes):Nes らの研究に基づく近似。
- 217 − 0.85×年齢(Miller):Miller らの研究に基づく近似。
例:40歳
・簡易:220−40=180 bpm
・Tanaka:208−0.7×40=180 bpm(概ね同程度になるが人により前後)
B. 実測(最も正確)
- 医療機関・研究施設の運動負荷試験(心電図・酸素摂取量を監視)
- フィールドテスト(十分なウォームアップ→段階的ビルドアップ→最後に30〜60秒の全力上げ)。
安全面から、既往歴や症状がある人は医師に相談してから実施してください。
3) HRmaxを使った目標心拍の出し方
A. %HRmax法(シンプル)
- 目標心拍 = HRmax × 強度%
- 例:HRmax=180、70% → 126 bpm
B. カルボーネン法(推奨:個人差を反映)
- HRR(心拍予備能) = HRmax − RHR(安静時心拍数)
- 目標心拍 = HRR × 強度% + RHR
- 例:HRmax=180、RHR=60、70% → (180−60)×0.70+60 = 144 bpm
※RHRが低い持久系の人ほど、同じ%でも目標bpmが高くなりやすい=強度合わせが精緻。
4) 何がHRmaxに影響する?
- 遺伝・年齢:一般に加齢で低下。ただし個人差が大きい。
- 性・体格:傾向はあっても個体差が最優先。
- コンディション:睡眠不足、ストレス、脱水、暑熱・高地、発熱など。
- 薬剤:β遮断薬などは心拍反応を抑える→実測・推定の解釈に注意。
- 測定法:装着位置やデバイスの精度、ウォームアップ不十分だと過小評価しやすい。
5) よくある誤解
- 「HRmaxは鍛えると上がる?」
有酸素トレーニングで上がるのは主に持久力(VO2maxやLT)で、HRmax自体は大きくは変わりにくい。 - 「220−年齢は絶対?」
便利な近似式にすぎません。必ず個人差を想定し、運用は安全側に。 - 「一度測れば一生同じ?」
年齢や状況で変動します。定期的に見直し(推定の更新 or テスト)がおすすめ。
6) 実務的な使い分け
- まずは推定式で大まかに設定 → 体感(RPE)や会話テストとズレないか確認。
- カルボーネン法でRHRを取り入れて精度アップ。
- 高強度インターバルやレースペースの設計が必要なら、安全を確保したうえで実測に近づける。
7) 例:40歳・RHR=60の人
- 推定HRmax(Tanaka)= 208−0.7×40= 180
- HRR = 180−60= 120
- ゾーン例(HRRベース)
- Z1(50–60%):120×0.50〜0.60 + 60 → 120〜132 bpm
- Z2(60–70%):132〜144 bpm
- Z3(70–80%):144〜156 bpm
- Z4(80–90%):156〜168 bpm
- Z5(90–100%):168〜180 bpm
8) 安全上の注意
- これは推定です。胸痛・強い息切れ・めまい・失神感があれば即中止。
- 既往症や服薬がある場合、医療者へ相談のうえ計画を。
- 暑熱・脱水・高地では心拍が上振れしやすいので、体感・パワー・ペースも併用して判断。
まとめ:HRmaxは“強度設計の基準点”。まずは推定で運用し、RHRや体感で微調整、必要なら実測で精度を高めるのが実践的です。
最大心拍数を超えるとどうなるの?
最大心拍数を超えるとどうなるの?
「最大心拍数(HRmax)は目安であり、物理的な絶対上限ではない」ため、表示上“超えた”ように見えることはあります。ただし、高心拍域はリスクもあるため扱いは慎重にしてください。
何が起きる?(起こりやすい順)
- 計測のブレ(最も多い)
手首型の光学式センサーは揺れ・汗・寒さ・装着位置で誤計測しやすく、瞬間的に10〜20bpm以上“跳ねる”ことがあります。胸ストラップでも電極の乾燥や接触不良でスパイクが出ます。 - 「推定HRmax」より高い実力
220−年齢などの推定式は平均的な近似です。個人差は±10〜12bpm以上あり、真のHRmaxが推定値より高いだけ、ということも普通にあります。 - 短時間のオーバーシュート
ラストスパートや坂ダッシュで交感神経が強く働くと、ごく短時間だけ推定HRmaxを上回る表示になることがあります。 - 生理学的限界に近いサイン
真のHRmax付近では心拍は頭打ちになり、ペースを上げても心拍が伸びない、主観的疲労が急増するなどの現象が起きます。胸部圧迫感、息切れ、めまい、吐き気などがあれば中止してください。
危険なのか
- 健康な人が段階的に追い込んで短時間だけHRmax近傍に達するのは通常の範囲内。ただし頻回・長時間の超高強度はオーバートレーニングや不整脈リスクを高めうるため計画的に。
- 心疾患の既往・症状・服薬(β遮断薬等)がある場合は、高強度は医師と相談の上行ってください。
そうなった時の対処
- 主観症状を最優先:胸痛、強い息切れ、ふらつき、動悸があれば即停止・休息。
- 計測を確認:ベルトの締め具合・位置調整。光学式なら手首位置を1〜2cmずらす。可能なら胸ストラップで再現性を確認。
- テストと設定の見直し:何度も“超える”なら推定HRmaxが低すぎる可能性。ウォームアップ後の段階ビルドアップで安全に実測に近い値を測り、HRmax設定を更新。
また、カルボーネン法(%HRR + RHR)へ切り替えると個人差を反映しやすくなります。 - トレーニング設計:高強度インターバルは週1〜2回・合計高強度時間は短めに。暑熱・脱水・高地では心拍が上振れしやすいので、ペース/パワー/RPEも併用して管理。
よくある質問
- 「推定180なのに185まで上がった。危険か?」
推定式の個人差の範囲内です。症状がなく、短時間で回復するなら直ちに異常とは言えません。何度も再現するならHRmax設定の見直しを。 - 「HRmaxは鍛えれば上がるのか?」
大きくは変わりにくい一方、測定精度やテストの仕方で「見かけ上」上がることはあります。向上するのは主にVO2maxやLTなどの持久的能力です。
まとめ
表示上の「HRmax超え」は、測定誤差か推定値の低さが主因であることが多いです。症状があれば即中止・受診、症状がなければ計測方法とHRmax設定を見直し、強度管理はカルボーネン法+RPE/ペース/パワーの併用が実践的です。
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