配当性向計算 Dividend Payout Ratio

配当性向計算は、「当期純利益」「配当総額」または「EPS(1株利益)」「DPS(1株配当)」を入力するだけで簡単に「配当性向」が計算できるツールです。「計算式」「留保率」も表示しています。
使い方
- まず「入力モード」を選びます。総額入力(当期純利益・配当総額で計算)か、1株入力(EPS・DPSで計算)。初期値は 総額入力 で、当期純利益=1000/配当総額=100/通貨=JPY です(参考の1株入力は EPS=50/DPS=5/発行株式数=1,000,000)。
- 総額入力では「当期純利益」「配当総額」を、1株入力では「EPS」「DPS」(任意で「発行株式数」)を入力します。通貨と期間は表示用の付帯情報です。
- 入力は即時反映され、選択中モードに応じて下式で配当性向を計算します。
・総額:配当性向(%) = (配当総額 ÷ 当期純利益) × 100
・1株:配当性向(%) = (DPS ÷ EPS) × 100 - 表示の丸めは小数第1位(0.1%)です。併せて 留保率 = 100 − 配当性向 を表示します。
- 出力エリアには現在モードの配当性向と留保率、さらに実際に用いた式と値を示す 計算ロジック を表示します(例:「配当性向 = (配当総額 JPY 100 ÷ 当期純利益 JPY 1000) × 100」)。
- 1株入力で株数が入っている場合は、参考として換算:配当総額と換算:当期純利益(= DPS×株数、EPS×株数)を同時表示します。
- バリデーション:未入力や負数はエラー扱い。分母=0の場合は結果を出さずエラーを表示します。EPS ≤ 0のときは1株ベースはN/A(算出不能)として警告します。
- 注意表示:配当性向が150%超など極端な値は赤い警告で示します(無理のある配当の可能性)。
- 初期表示の例:総額入力で 当期純利益=1000/配当総額=100 → 配当性向=10.0%、留保率=90.0%、計算ロジックに使用した式と値が併記されます。1株入力の初期値 EPS=50/DPS=5 でも同じく 10.0% になります。
- アクセシビリティ:各入力にラベルが付いており、Enterでも再計算できます。モバイルでも縦レイアウトで操作できます。
配当性向とは?
配当性向とは
配当性向(はいとうせいこう)とは、企業が稼いだ利益のうち、どれだけを株主へ「配当金」として還元したかを示す指標です。企業の配当方針や財務の余力、今後の投資スタンスを読み解くうえで基礎になります。
定義と計算式
- 総額ベース
配当性向(%) = 配当総額 ÷ 当期純利益 × 100 - 1株ベース
配当性向(%) = DPS(1株配当) ÷ EPS(1株利益) × 100 - 補助指標(留保率)
留保率(%) = 100 − 配当性向(内部留保=再投資原資の目安)
何が分かるか
- 株主還元の強さ:高いほど積極還元の姿勢。
- 再投資とのバランス:低いほど成長投資や財務健全化に回している可能性。
- 配当の“無理・余裕”:利益に対して過大な配当(>100%)が続くと、持続可能性に懸念。
目安(業種で常識は異なる)
- 成長株・テック:20–40%が多い(投資需要が大きい)。
- 製造業・消費財:30–50%程度。
- 公益・通信・REIT:60%超~高水準でも許容(収益が安定/REITは分配規制)。
※同じ業種でも企業戦略により幅があります。
解釈の注意点(よくある落とし穴)
- 一時要因で歪む:減損や特別損益で純利益が小さくなると、見かけの配当性向は急騰。
- EPSが0やマイナス:1株ベースは算出不能(N/A)。総額ベースも分母=0は評価できません。
- 特別配当:単年だけ高くなる。通常配当と分けて見る。
- キャッシュ創出力とズレ:会計利益ベースのため、減価償却や運転資本の影響を含みます。
→ 補完として FCF配当性向=配当総額 ÷ フリーキャッシュフロー も併用すると実態に近い。 - 自社株買いは含まない:配当性向は“現金配当”だけ。総合的な株主還元は 総株主還元性向=(配当+自社株買い)÷ 当期純利益 で確認。
実務での見方(3ステップ)
- 単年値を確認:配当性向と留保率のバランス、100%超の有無。
- 時系列で平準化:TTM(直近12ヶ月)や3~5年平均で、景気循環や一時要因をならす。
- キャッシュと比較:営業CF・FCFとの整合、ネット有利子負債や投資計画との両立を確認。
例(単純化)
- 会社A:純利益1,000、配当総額100 → 配当性向10%、留保率90%(積極投資型)
- 会社B:純利益300、配当総額240 → 80%(成熟・安定配当前提なら許容)
- 会社C:純利益200、配当総額250 → 125%(単年なら特別配当の可能性、継続は要注意)
どんなときに使う?
- 配当方針の比較:同業他社や過去との比較で姿勢を把握。
- 配当の持続性チェック:利益・CF・投資計画と照合。
- 銘柄スクリーニング:一定のレンジ(例:30–60%)を条件に抽出。
まとめ
配当性向は、株主への現金還元と企業の成長投資のバランスを一目で示す基本指標です。単年の数字だけで結論を出さず、業種慣行・時系列・キャッシュフローと合わせて立体的に評価すると、配当の“持続可能性”と“経営スタンス”がより正確に見えてきます。
配当性向の計算式
結論
- 総額ベース
配当性向(%) = 配当総額 ÷ 当期純利益 × 100 - 1株ベース
配当性向(%) = DPS(1株配当)÷ EPS(1株利益)× 100
※「総額」と「1株」はどちらで計算しても同じ比率になります(EPS×株数=純利益、DPS×株数=配当総額)。
手順
A. 総額ベースで計算する場合
- 当期純利益(会社全体)と配当総額(会社全体)を用意
- 分数を作る:配当総額 / 当期純利益
- %に直す:結果に×100(ついでに留保率 = 100 − 配当性向も算出)
B. 1株ベースで計算する場合
- EPS(1株利益)とDPS(1株配当)を用意
- 分数を作る:DPS / EPS
- %に直す:結果に×100
具体例
- 例1:総額ベース
純利益 = 1,000、配当総額 = 100 → 配当性向 = 100 ÷ 1,000 × 100 = 10%、留保率 = 100 − 10 = 90% - 例2:1株ベース
EPS = 50、DPS = 5 → 配当性向 = 5 ÷ 50 × 100 = 10% - 例3:同値性の確認(1株→総額)
株数 = 1,000,000、EPS=50、DPS=5
純利益 = 50×1,000,000 = 50,000,000、配当総額 = 5×1,000,000 = 5,000,000
→ 配当性向 = 5,000,000 ÷ 50,000,000 × 100 = 10%(同じ)
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注意事項
このツールは無料でご利用いただけます。
※このプログラムはPHP8.2.22にて作成、動作確認を行っております。
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