ナンピン計算 Nanpin Calculation

ナンピン計算は、複数のナンピン買い(または売り)を入力すると、新しい平均取得単価や損益分岐点を自動計算するツールです。手数料設定(率・固定)をまとめて反映でき、現在値や目標価格での損益も一目で確認できます。「必要反発率」を表示し、いまの価格からどれだけ戻れば損益分岐点に到達するかを直感的に把握できます。
使い方
- 「既存ポジション」「追加注文」「手数料」「現在地」「目標価格」「売買方向」を入力します。
- 「総数量」「総コスト」「平均取得単価」「損益分岐点」「必要反発率」「目標価格ごとの想定損益」が表示されます。
ナンピン計算方法
基本の考え方
- 「既存+追加注文」の総数量 Qtotと、総コスト Ctot(=約定代金+エントリー手数料の合計)を計算します。
- そこから平均取得単価を計算します:
Pavg = Ctot / Qtot
- 決済時のエグジット手数料を織り込んで損益分岐点 PBEを求めます。
- 現在値があれば、必要反発率(いまの価格からPBEまでの必要な変化率)を計算します。
- 任意の目標価格ごとの損益(PnL)とリターンを算出します。
ステップ別の式
1. 総数量・総コスト
- 総数量:
Qtot = Q0 + Σ qi
- 総コスト(ツール定義):
Ctot = Q0*P0 + Σ{ qi*pi + entry_fee_rate*(qi*pi) + entry_fee_fixed }
2. 平均取得単価
Pavg = Ctot / Qtot
3. 損益分岐点(決済手数料込み)
- ロング:
PBE = (Ctot + exit_fee_fixed) / (Qtot * (1 - exit_fee_rate))
- ショート:
PBE = (Ctot - exit_fee_fixed) / (Qtot * (1 + exit_fee_rate))
4. 必要反発率(現在値 Pnow がある場合)
- ロング:
(PBE - Pnow) / Pnow
- ショート:
(Pnow - PBE) / Pnow
5. 目標価格ごとの損益とリターン
- ロング:
PnL(Pt) = Qtot*Pt*(1 - exit_fee_rate) - exit_fee_fixed - Ctot
- ショート:
PnL(Pt) = Ctot - Qtot*Pt*(1 + exit_fee_rate) - exit_fee_fixed
- リターン:
Return(Pt) = PnL(Pt) / Ctot
具体例(日本株のデフォルト設定)
- 既存:
Q0 = 100
株、P0 = 2000
円 - 追加:1行
q1 = 100
株、p1 = 1800
円 - エントリー手数料率:
0.1%
→entry_fee_rate = 0.001
(固定 0 円) - エグジット手数料率:
0.1%
→exit_fee_rate = 0.001
(固定 0 円) - 現在値:
Pnow = 1700
円
1) 総数量
Qtot = 100 + 100 = 200
2) 総コスト
- 既存コスト:
100 * 2000 = 200,000
円 - 追加の約定代金:
100 * 1800 = 180,000
円 - 追加のエントリー手数料:
0.001 * 180,000 = 180
円
Ctot = 200,000 + 180,000 + 180 = 380,180 円
3) 平均取得単価
Pavg = 380,180 / 200 = 1,900.9 円
4) 損益分岐点(ロング)
PBE = 380,180 / (200 * (1 - 0.001)) = 380,180 / 199.8 ≈ 1,902.803 円
5) 必要反発率(ロング)
(1,902.803 - 1,700) / 1,700 ≈ 0.1193 → 約 11.93%
6) 目標価格での損益例
Pt = 2000
円:
PnL = 200*2000*(1 - 0.001) - 380,180 = 399,600 - 380,180 = 19,420 円
Return = 19,420 / 380,180 ≈ 5.11%
Pt = 2200
円:
PnL = 200*2200*(1 - 0.001) - 380,180 = 439,560 - 380,180 = 59,380 円
Return ≈ 59,380 / 380,180 ≈ 15.62%
実務での注意ポイント
- 手数料率の入力は%表記(例:0.1=0.1%)。ツール内部では自動的にレート(0.001)に変換します。
- 固定手数料は「エントリー=各約定ごと」「エグジット=全体決済で一回」という前提で計算しています。
- 手数料を入れると、ロングではPavg・PBEが上振れし、必要反発率も大きくなります。
- 現物/信用、最小単元、各社の料率体系などの取引ルールは証券会社ごとに異なるため、必要に応じて制約チェックを追加してください。
ナンピンとは
ナンピンとは、投資やトレードで使われる手法の一つで、 「保有している銘柄が値下がりしたときに、さらに買い増しをして平均取得単価を下げること」 を指します。日本語の「難平(なんぴん)」が由来で、「損失を平均化して平らにならす」という意味があります。
仕組み
- たとえば、株を100株 1,000円で買ったとします。
- その後株価が800円に下がったときに、さらに100株を買い増すと、
- 平均取得単価は (1000×100 + 800×100) ÷ 200株 = 900円 になります。
- この場合、株価が900円以上に戻れば損益はプラスマイナスゼロになります。
メリット
- 株価が戻れば早く損失を解消できる
- 平均取得単価を下げられることで、回復時の利益幅が大きくなる
デメリット・リスク
- 下落が続いた場合、損失がどんどん拡大する
- 資金を消耗してしまい、他の投資機会を逃す
- 「ナンピン貧乏」と呼ばれるように、失敗すると大きな損失につながりやすい
要するにナンピンは「損を減らすための平均化戦略」ですが、強い下落トレンドでは逆効果になることも多く、資金管理やリスク管理がとても重要な手法です。
ご希望なら「ナンピン計算ツール」で扱う 必要反発率(損益がトントンに戻るために必要な価格上昇率)の具体例も解説できます。説明しますか?
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注意事項
このツールは無料でご利用いただけます。
※このプログラムはPHP8.2.22にて作成、動作確認を行っております。
※ご利用下さっている皆様のご意見・ご要望(改善要望)をお寄せください。