個人輸入の関税計算 Customs Duty for Personal Imports

個人輸入の関税計算は、「商品価格」「送料」「為替レート」「関税率」「課税方式」を入力するだけで簡単に関税が計算できるツールです。「簡易課税」「通常課税」に対応しています。
使い方
- 「商品価格」「送料」「為替レート」「関税率」「課税方式」を入力します。
- 「CIF価格(円換算)」「課税価格」「計算方法」「関税額」「消費税額」「合計税額」が表示されます。
個人輸入の関税計算方法
用語
- CIF価格=Cost(商品代)+Insurance(保険)+Freight(国際送料)の合計(外貨→税関レートで円換算)
- 課税価格=税額計算のベース
- 個人輸入の簡易(60%ルール):課税価格=CIF×0.6
- 通常:課税価格=CIF×1.0
- 免税ライン:課税価格が10,000円以下なら原則税額0円(酒・たばこ等は除外)
- 税目は2つ:関税 → その上に 消費税(10%)
計算フロー(個人使用)
-
CIF(円)を出す
CIF円 = (商品代 + 国際送料 + 保険) × 税関公表レート
-
課税価格の方式を判定
- 品目が簡易対象(衣類・バッグ・靴・日用品など一般消費財)→ 60%ルール
- 酒類・たばこ・医薬品など対象外 → 通常
課税価格 = { 簡易対象: CIF×0.6, それ以外: CIF }
-
免税判定
課税価格 ≤ 10,000円 → 関税=0、消費税=0(=税金なし)
-
関税額を計算
関税額 = 課税価格 × 関税率
関税率は品目で異なる(例:PC・スマホ0%、衣類8〜10%台、靴・革製品は高め、食品は品目ごと)。
-
消費税(地方消費税込み10%)を計算
消費税額 = (課税価格 + 関税額) × 0.10
-
合計税額
合計税額 = 関税額 + 消費税額
端数処理:実務では1円未満は切捨てが基本。ツール実装は各ステップで小数点を切捨てるのが安全。
数値例
例1:衣類(簡易対象=60%ルール適用)
- 商品代:120 USD
- 送料:25 USD
- 税関レート:160 円/USD
- 関税率:8%
CIF = (120 + 25) × 160 = 23,200 円 課税価格 = 23,200 × 0.6 = 13,920 円 免税判定:13,920 > 10,000 → 課税 関税額 = 13,920 × 0.08 = 1,113 円(切捨て) 消費税額 = (13,920 + 1,113) × 0.10 = 1,503 円(切捨て) 合計税額 = 1,113 + 1,503 = 2,616 円
例2:簡易対象外(通常計算)
上と同条件で、通常(CIF=100%)と仮定、関税率15%の例
CIF = 23,200 円 課税価格 = 23,200 円 関税額 = 23,200 × 0.15 = 3,480 円 消費税額 = (23,200 + 3,480) × 0.10 = 2,668 円 合計税額 = 3,480 + 2,668 = 6,148 円
例3:免税になるケース(簡易)
- 商品代:80 USD、送料:10 USD、レート:150 円/USD、関税率:仮に8%
CIF = (80 + 10) × 150 = 13,500 円 課税価格 = 13,500 × 0.6 = 8,100 円 免税判定:8,100 ≤ 10,000 → 税額0円(関税・消費税ともに0)
60%ルールと通常のちがい(要点)
項目 | 60%ルール(簡易) | 通常課税 |
---|---|---|
課税価格 | CIF × 0.6 | CIF × 1.0 |
適用対象 | 個人使用の簡易対象品目 | 商用、または簡易対象外品目 |
税負担 | 軽くなりやすい | 重くなりやすい |
免税ライン | 同じ基準だが到達しやすい | 同じ基準だが到達しにくい |
よくある注意点
- 税関レートは週ごとに定められる公表レートを使用(カードレートではない)。
- ギフト(贈与品)でも個人使用の範囲なら60%ルールが使われることが多い(中身により対象外あり)。
- 分割発送は免税逃れと見なされる場合がある(同一注文の複数箱は合算され得る)。
- 特殊課税(従量税や混合税)の品目もあるため、靴・革・食品などは関税率の確認が大事。
- 酒・たばこ・医薬品の一部は簡易対象外で、別計算や許認可が必要なことがある。
そのまま使える“最小式”まとめ
CIF円 = (商品代 + 送料 + 保険) × 税関レート 課税価格 = CIF円 × { 0.6(簡易対象) or 1.0(通常) } if 課税価格 ≤ 10,000: 関税=0、消費税=0 else: 関税額 = floor(課税価格 × 関税率) 消費税額 = floor( (課税価格 + 関税額) × 0.10 ) 合計税額 = 関税額 + 消費税額
簡易課税と通常課税の違い
簡易課税(60%ルール)とは
概要
個人が自分や家族で使う目的で輸入する場合に適用できる、税額計算を簡略化した方法。課税価格は
CIF(商品代+国際送料+保険)× 60% で計算します。
条件
- 目的が個人使用(転売・商用は不可)
- 対象品目(衣類・靴・バッグ・日用品などの一般消費財)
- 酒・たばこ・医薬品などの対象外品目は除外
計算式
課税価格 = CIF × 0.6 関税額 = 課税価格 × 関税率(簡易税率) 消費税額 = (課税価格 + 関税額) × 0.10
メリット
課税価格が40%圧縮されるため、免税ライン(課税価格10,000円以下)に届きやすく、税額も小さくなりやすい。
通常課税とは
概要
商用輸入や簡易課税対象外品目に適用される原則的な計算方法。課税価格は
CIFの100% を用い、HSコードごとの通常税率を適用します。
条件
- 商用(販売目的)
- 簡易対象外品目(酒・たばこ・医薬品・一部食品・特殊材質の製品など)
計算式
課税価格 = CIF × 1.0 関税額 = 課税価格 × 関税率(通常税率) 消費税額 = (課税価格 + 関税額) × 0.10
特徴
課税価格が大きく、免税になりにくい。税額は簡易課税より高くなる傾向。
違いの比較表
項目 | 簡易課税(60%ルール) | 通常課税 |
---|---|---|
課税価格の計算 | CIF × 0.6 | CIF × 1.0 |
適用対象 | 個人使用の簡易対象品目 | 商用または簡易対象外品目 |
関税率 | 簡易税率(低めのことが多い) | HSコードごとの通常税率 |
税額 | 少ない | 多い |
免税ライン到達 | 到達しやすい(課税価格が小さい) | 到達しにくい |
税額差の具体例
条件:商品価格120 USD、送料25 USD、税関レート160 円/USD、関税率8%(衣類想定)
簡易課税
CIF = (120 + 25) × 160 = 23,200 円 課税価格 = 23,200 × 0.6 = 13,920 円 関税額 = 13,920 × 0.08 = 1,113 円 消費税額 = (13,920 + 1,113) × 0.10 = 1,503 円 合計税額 = 2,616 円
通常課税
課税価格 = 23,200 円 関税額 = 23,200 × 0.08 = 1,856 円 消費税額 = (23,200 + 1,856) × 0.10 = 2,505 円 合計税額 = 4,361 円
差額の目安:同一条件でも約1,700円の差が生じる。
関連ツール
注意事項
このツールは無料でご利用いただけます。
※このプログラムはPHP8.2.22にて作成、動作確認を行っております。
※ご利用下さっている皆様のご意見・ご要望(改善要望)をお寄せください。