LTV計算 LTV Calculator
LTV計算は、「平均購入単価」「平均購入頻度」「粗利率」などを入力するだけで簡単に「LTV(顧客生涯価値)」「LTV/CAC比率」が計算できるツールです。「計算モデル」を選択することで「SaaSモデル(解約率ベース)」や「DCFモデル(割引率考慮)」の計算にも対応しています。
使い方
- 「計算モデル」を選択し、モデルに応じた「平均購入単価(円)」「平均購入頻度(年間)」「平均継続期間(年)」「粗利率(%)」などの項目、および「顧客獲得コスト(CAC)(円)」を入力します。
- 「計算結果(LTV)」「LTV / CAC 比率」「健全性診断」「LTV vs CAC (グラフ)」が表示されます。
LTVとは?
LTV(LifeTime Value:ライフタイムバリュー)は、日本語で「顧客生涯価値」と訳されます。
これは、一人の顧客が、取引を開始してから終了するまでの全期間(生涯)にわたって、自社にどれだけの利益(または売上)をもたらしてくれるかを算出した指標です。
なぜLTVが重要か?
LTVは、特にマーケティング戦略や事業の健全性を判断するために非常に重要な指標です。
- 収益性の判断: 顧客一人から将来的にどれくらいの利益が期待できるかを可視化できます。
- マーケティング予算の最適化: LTVを把握することで、「一人の顧客を獲得するために、いくらまで広告費(コスト)をかけて良いか」の上限がわかります。
- 顧客ロイヤルティの重視: LTVを高めるには、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客にいかに長く、多く購入してもらうか(=顧客ロイヤルティの向上)が重要になります。
LTVとCACの関係
LTVが最も重視されるのは、「CAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得コスト)」との比較においてです。
- CAC(顧客獲得コスト): 一人の新規顧客を獲得するためにかかった費用(広告費、営業人件費など)。
- LTV(顧客生涯価値): 一人の顧客が将来もたらす総利益。
ビジネスが成長するためには、以下の状態を維持する必要があります。
LTV > CAC
(顧客から得る利益 > 顧客を獲得するためのコスト)
もしLTVがCACを下回っている(LTV < CAC)場合、そのビジネスは「顧客を呼べば呼ぶほど赤字になる」状態であり、早急な改善が必要です。一般的に、LTVがCACの3倍以上あると健全な状態とされています。
LTVとは?
LTVの計算方法は1つだけではなく、ビジネスモデル(ECサイト、サブスクリプションなど)や、どれだけ正確に計算したいかによって、いくつかのパターンを使い分けます。
ここでは、代表的な3つの計算方法を、それぞれの特徴とともに丁寧に解説します。
LTV計算の基本要素
まず、計算式でよく使われる主な項目(変数)を整理します。
- 平均購入単価 (Average Purchase Price): 1回の購入で顧客が支払う平均金額。
- 平均購入頻度 (Purchase Frequency): 1人の顧客が特定の期間(通常は1年間)に購入する平均回数。
- 平均継続期間 (Average Customer Lifespan): 1人の顧客が自社と取引を続ける平均的な期間(年または月)。
- 粗利率 (Gross Margin): 売上から売上原価(商品の仕入れコストなど)を引いた利益の割合。LTVを「売上」ではなく「利益」で見るために非常に重要です。
- 解約率 (Churn Rate): 特定の期間(通常は1ヶ月または1年)に解約する顧客の割合。主にサブスクリプションモデルで使います。
- ARPA / ARPU (Average Revenue Per Account / User): 1顧客あたりの平均収益(月間または年間)。
LTVの主な計算方法
1. シンプルな計算式 (EC・小売・非サブスク向け)
最も基本的で、多くの業種で使われる計算方法です。「平均的な顧客が、取引期間全体で、どれくらいの利益をもたらすか」を概算します。
LTV = 平均購入単価 × 平均購入頻度 (年間) × 平均継続期間 (年) × 粗利率
具体例
- 平均購入単価: 8,000円
- 平均購入頻度: 年3回
- 平均継続期間: 5年
- 粗利率: 40% (0.4)
LTV = 8,000円 × 3回 × 5年 × 0.4 = 48,000円
- 特徴:
- 計算がシンプルで直感的です。
- ECサイトや実店舗(美容室、飲食店など)で使いやすいです。
- 弱点:
- 「平均継続期間」を正確に把握するのが難しい場合があります。
2. SaaS・サブスクリプションの計算式 (解約率ベース)
月額課金や年額課金など、継続的な収益(リカーリング)があるビジネスモデルで最も一般的に使われる方法です。
このモデルでは、「平均継続期間」の代わりに、より正確に計測できる「解約率 (Churn Rate)」を使います。
LTV = 顧客の平均月間収益 (ARPA) ÷ 月間解約率 (Churn Rate) × 粗利率
なぜ「ARPA ÷ 解約率」なのか?
これは、1 ÷ 月間解約率 が「平均継続月数」を意味するからです。
- 例えば、月間解約率が5% (0.05) だった場合:
1 ÷ 0.05 = 20ヶ月
となり、顧客は平均20ヶ月サービスを継続することが期待できます。 - したがって、
ARPA × (1 ÷ 解約率)はARPA × 平均継続月数となり、顧客が生涯で支払う合計金額(の期待値)を示します。
具体例
- 平均月間収益 (ARPA): 2,000円
- 月間解約率: 4% (0.04)
- 粗利率: 70% (0.7)
LTV = (2,000円 ÷ 0.04) × 0.7 = 50,000円 × 0.7 = 35,000円
- 特徴:
- サブスクリプションビジネスの健全性を正確に反映しやすいです。
- 解約率の改善がLTVにどれだけ影響するかをシミュレーションできます。
- 注意点:
- ARPA(月間)と解約率(月間)の期間を必ず合わせる必要があります。(年間ARPU ÷ 年間解約率でも計算可能です)
3. 詳細LTVモデル (DCF法・割引率考慮)
これは最も高度な計算方法で、ファイナンス(金融)の視点を取り入れています。
基本的な考え方は「将来得られる利益は、現在の利益よりも価値が低い」というものです。なぜなら、今日手元にある1万円は投資して増やせますが、1年後にもらえる1万円は今すぐには使えないからです。
この「将来の価値を現在の価値に割り引く」ために「割引率 (Discount Rate)」を使います。
計算の概念
計算式は複雑(Σ [ (t年後の平均利益) / (1 + 割引率)^t ])になりますが、やっていることは以下の通りです。
- 顧客が1年目、2年目、3年目…にもたらす「期待利益」をそれぞれ計算します。
- 2年目の利益は「割引率」を使って現在の価値に割り引きます(少し価値を減らす)。
- 3年目の利益は、さらに大きく割り引きます。
- これらを指定した期間(例: 5年間)合計したものが、DCF法によるLTVです。
- 特徴:
- 最も正確で、企業の財務状況や投資判断(M&Aなど)にも使われる信頼性の高い計算方法です。
- 弱点:
- 計算が複雑で、「割引率」を何%に設定するか(通常は8%〜15%程度)という専門的な判断が必要になります。
LTV計算で最も重要なこと
どの方法でLTVを計算するかにかかわらず、以下の2点が非常に重要です。
- 「売上」ではなく「粗利(利益)」で計算する
LTVをマーケティング予算の判断に使う場合、売上(Revenue)で計算するとコストをかけすぎ(赤字)になる危険があります。必ず粗利率をかけ、顧客から得られる「利益」でLTVを把握してください。 - CAC (顧客獲得コスト) と比較する
LTVを計算する最大の目的は、CAC (Customer Acquisition Cost:顧客獲得コスト) と比較するためです。- LTV > CAC: ビジネスは健全です(利益が出ている)。
- LTV < CAC: ビジネスは赤字です(顧客を獲得するほど損をしている)。
LTVの計算は、自社のビジネスがどのモデルに近いかを見極め、適切な計算式を選ぶことがスタートとなります。
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注意事項
このツールは無料でご利用いただけます。
※このプログラムはPHP8.2.22にて作成、動作確認を行っております。
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