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目次
クイックスタート(Quick Start)とは?機能の概要とできること
クイックスタート(Quick Start)は、Appleが公式に提供している「データ移行機能」です。iPhoneやiPadを新しい機種に買い替える際、ケーブルをつながなくてもWi-FiやBluetoothを使って自動的にデータを転送できます。面倒な手作業をほとんどせずに、短時間で旧端末の環境を再現できるのが大きな特徴です。
クイックスタートの基本仕組み
クイックスタートは、新しいデバイスを初めて起動したときに自動的に表示されるセットアップ画面から始まります。
古いiPhoneやiPadを近くに置くと、両方の端末がBluetoothで自動認識し、認証のためのアニメーションを読み取るだけで接続が完了します。その後はWi-Fi経由でデータ転送が行われ、アプリ・写真・連絡先・設定などを丸ごと引き継ぐことができます。
この機能は、iOS 12.4以降(iPadはiPadOS 13以降)に対応しており、ほとんどの最新デバイスで利用できます。
クイックスタートでできること
クイックスタートを使うと、次のようなデータをほぼ完全に移行できます。
- 写真や動画、連絡先、メッセージ履歴などの個人データ
- ホーム画面のレイアウト、アプリ配置、壁紙設定
- Wi-FiパスワードやBluetooth設定などの環境情報
- Apple IDに紐づくアプリ、App Storeの購入履歴
- eSIMのモバイル通信設定(キャリア対応端末のみ)
- Face IDやTouch IDなどの生体認証情報(再登録が必要な場合もあり)
つまり、新しいiPhoneを手にした瞬間から、まるで以前の端末をそのまま使っているような環境を再現できるのがクイックスタートの魅力です。
クイックスタートを使うメリット
クイックスタートを使う最大の利点は、手間の少なさと安全性です。
Apple公式の仕組みで、認証や暗号化通信が標準で行われるため、個人情報を第三者に渡すリスクがありません。また、iCloudバックアップを経由しない直接転送方式のため、大容量のデータも短時間で移行できます。
さらに、モバイル通信設定(eSIM)の転送や、iCloudへの自動サインインも同時に行えるため、設定ミスやデータ抜けを最小限に抑えられます。
注意しておきたい点
クイックスタートは非常に便利ですが、すべてのデータを完璧に移行できるわけではありません。
特に以下のようなアプリや情報は、個別の再設定が必要になる場合があります。
- モバイルSuica・PASMOなどの交通系ICアプリ
- Google Authenticatorなどの2段階認証アプリ
- 一部のゲームアプリのデータやID情報
これらは事前にログアウトやデータエクスポートをしておくと、安全に引き継げます。

クイックスタートは「誰でも簡単に安全に」データ移行を行うためのApple公式機能です。準備さえ整えれば、ケーブルもパソコンも不要で、短時間で旧端末の環境をそのまま再現できます。
クイックスタートを使う前に準備しておくこと
クイックスタートは便利なデータ移行機能ですが、事前準備を怠ると接続エラーや転送失敗の原因になります。ここでは、スムーズに移行を進めるために必ず確認しておきたいポイントを整理します。
iOSのバージョンを最新にしておく
クイックスタートは iOS 12.4以降(iPadはiPadOS 13以降) でのみ利用できます。古いOSのままだと機能自体が表示されないため、必ずアップデートを済ませましょう。
設定アプリの「一般」→「ソフトウェア・アップデート」から確認・更新できます。
Wi-FiとBluetoothをオンにする
クイックスタートはワイヤレス通信を使うため、Wi-FiとBluetoothの両方が有効になっていること が条件です。片方でもオフだと接続が始まりません。
設定アプリでオンにしたあと、2台のiPhoneを10cm以内に近づけておくと認識しやすくなります。
バッテリーを十分に確保する
データ移行中は端末のバッテリーを多く消費します。転送中に電源が落ちるとデータが破損するリスクがあるため、両方の端末を電源アダプタにつないだ状態 で作業するのが安全です。
とくに動画・写真のデータ量が多い場合は、フル充電でも30分以上かかるケースがあります。
ストレージ容量を確認して整理する
新しいiPhoneのストレージが足りないと、クイックスタートは途中で停止します。
「設定」→「一般」→「iPhoneストレージ」から容量を確認し、不要なアプリや写真、動画を削除しておきましょう。
古い端末の使用量が新しい端末の容量を上回っている場合は、iCloudや外部ストレージに一時的に退避するのもおすすめです。
Apple ID・パスコードを確認しておく
クイックスタート中にApple IDの入力やパスコード認証が求められます。
パスワードを忘れてしまうと転送が中断するため、事前にログイン情報を確認またはメモしておく ことが大切です。
バックアップを取っておく
万が一のトラブルに備えて、iCloudまたはiTunes(Finder)で最新のバックアップを作成しておきましょう。
バックアップがあれば、転送が途中で失敗してもデータを復元できます。
転送に影響するアプリやデータを把握しておく
交通系ICアプリ(Suica・PASMOなど)や2段階認証アプリ(Google Authenticatorなど)は自動で移行されない場合があります。
それぞれのアプリで事前に引き継ぎ手続きを済ませておくと、移行後の設定がスムーズです。

クイックスタート前の準備は、失敗を防ぐための最も大事なステップです。通信環境・バッテリー・容量の3点を押さえておけば、ほとんどのトラブルは防げますよ。
クイックスタートのやり方(iPhone・iPad間の手順)
クイックスタートを使えば、古いiPhoneやiPadから新しい端末へ、写真・アプリ・設定・eSIMなどのデータをワイヤレスで安全に転送できます。ここでは、実際の操作手順を初心者でも迷わず進められるように解説します。
1. 新しい端末の電源を入れて初期設定を開始する
まず、新しいiPhoneまたはiPadの電源を入れます。言語と地域を選択すると、「クイックスタート」の画面が表示されます。この画面が出たら、次の手順の準備をしましょう。
2. 古い端末を近くに置き、「続ける」をタップする
古いiPhoneやiPadのロックを解除し、Wi-FiとBluetoothをオンにします。新しい端末の近くに置くと、古い端末の画面に「新しいiPhone(またはiPad)を設定」というメッセージが表示されます。
「続ける」をタップしてクイックスタートを開始してください。もし「続ける」が表示されない場合は、Bluetoothがオフになっていないか確認しましょう。
3. カメラでアニメーションを読み取る
新しい端末に青いアニメーションが表示されるので、古い端末のカメラでその画面を読み取ります。読み取りがうまくいかない場合は、部屋を少し明るくしたり画面の明るさを上げると認識しやすくなります。
4. パスコードを入力して認証を完了する
アニメーションの認識が完了すると、古い端末のパスコードを新しい端末で入力するよう求められます。これは本人確認のための重要なステップです。
入力後、Wi-Fiネットワークの選択画面が表示されるので、安定したネットワークに接続してください。
5. eSIMやモバイル通信の設定を行う
eSIMを利用している場合は、「別のiPhoneから転送」を選び、古い端末で転送を承認します。物理SIMを利用している場合は、「あとで設定でセットアップ」を選び、SIMを差し替えておきましょう。
この設定をスキップしても、後から「設定」アプリで再設定が可能です。
6. データ転送を選択し、転送を開始する
次に、「データを転送」の画面で「iPhone(またはiPad)から転送」を選びます。Apple IDでサインインし、利用規約に同意すると、転送が始まります。
この際、古い端末と新しい端末の両方を電源に接続し、なるべく近くに置いておくことが大切です。データ量によっては数十分から1時間ほどかかる場合があります。
7. 転送完了後の確認
転送が完了すると、新しい端末が自動的に再起動し、ホーム画面が表示されます。アプリの再ダウンロードやメール設定など、一部のデータが完全に同期するまでに時間がかかることがあります。
また、SuicaやGoogle Authenticatorなど、一部のアプリは個別の再設定が必要です。移行後に動作を確認しておきましょう。

クイックスタートを実行するときは、焦らず一つずつ確認しながら進めるのがコツです。途中で通信が切れたりエラーが出ても慌てず、再起動や再接続で解決できる場合が多いですよ。
クイックスタート中に発生しやすいエラーと対処法
クイックスタート(Quick Start)は非常に便利なデータ移行機能ですが、環境や設定によってエラーが起きることがあります。ここでは実際に多くのユーザーが経験しているトラブル例と、その解決策をまとめました。原因ごとに確認することで、スムーズに移行を完了させましょう。
Bluetoothがオフになっている・認識されない
クイックスタートでは、Bluetoothを使って2台のiPhoneを近距離通信で接続します。Bluetoothがオフになっていると接続できず、「新しいiPhoneを設定」画面が出ないことがあります。
対処法
- 古いiPhoneの「設定」>「Bluetooth」を開き、オンになっているか確認
- 両方の端末で機内モードがオフになっているか確認
- Bluetoothがオンでも接続されない場合は、両方のiPhoneを再起動してから再試行
- 近すぎる・離れすぎる距離もエラーの原因になるため、10cm前後の距離を保つ
通信環境が不安定で接続が切れる
Wi-Fiが不安定な環境では、データ転送が途中で止まる・接続が切れるケースがあります。特に大容量データの移行時は安定した通信が必須です。
対処法
- ルーターの近くで作業する
- 他の機器(PC・タブレットなど)が同じWi-Fiを大量に使っていないか確認
- 可能なら5GHz帯のWi-Fiを使用
- 一時的にWi-Fiを切り、再接続してからクイックスタートを再開
ストレージ容量不足で移行が止まる
新しいiPhoneのストレージ容量が古い端末より少ない場合、転送中に「容量が足りません」などのエラーが出ます。
対処法
- 古いiPhoneの「設定」>「一般」>「iPhoneストレージ」で使用量を確認
- 写真や動画、未使用アプリを削除して容量を確保
- iCloudバックアップを利用して、必要なデータだけを復元する方法に切り替える
転送が止まる・進行しない
クイックスタート中に転送が途中で止まることがあります。進行バーが動かない場合や「データ転送に失敗しました」と出る場合は、再接続で改善することが多いです。
対処法
- 両方のiPhoneを再起動する
- クイックスタートを一度キャンセルし、再度最初から設定をやり直す
- ケーブル接続(LightningまたはUSB-C)での有線転送を試すと安定する場合もある
- 転送中は操作せず、両方の端末を電源に接続して放置
eSIM転送でエラーが出る・通信ができない
eSIMを利用している場合、通信設定の引き継ぎでエラーが出ることがあります。eSIMの転送手続きが完了していないと、モバイル通信が使えない状態になることもあります。
対処法
- クイックスタート完了後、「設定」>「モバイル通信」>「モバイル通信プランを追加」から再設定
- キャリアによっては、専用のeSIM再発行ページで手続きが必要
- 受付時間が限定されているキャリアもあるため、事前に確認
iCloud関連のサインインエラー
データ転送中にApple IDサインインで止まる・パスワード入力画面が繰り返されることがあります。
対処法
- 安定したWi-Fiに接続しているか確認
- Apple IDの2段階認証コードを入力していない場合、メールまたは別デバイスで確認
- Apple IDのサーバーが混雑している場合は時間をおいて再試行
画面がフリーズ・反応しない
クイックスタート画面から動かなくなるケースもあります。特にアニメーション読み取り後に停止する場合は、読み取り時の環境が影響しています。
対処法
- 画面の明るさを上げてアニメーションを再読み取り
- 新旧端末を再起動し、もう一度「続ける」からやり直す
- どうしても進まない場合は、iCloudまたはiTunes経由の移行に切り替える

クイックスタートのエラーは、慌てず一つずつ原因を切り分けることが大切です。通信・ストレージ・設定の3点を確認すれば、ほとんどのトラブルは自力で解消できますよ
クイックスタートで移行できないデータと個別設定の方法
クイックスタートを使うと多くのデータを自動で移行できますが、すべてが完全にコピーされるわけではありません。Apple IDのセキュリティ仕様やアプリの仕組みにより、一部のデータや設定は個別に再設定する必要があります。ここでは、移行できない主なデータと、その設定方法を詳しく解説します。
クイックスタートで移行できない主なデータ
クイックスタートで自動的に移行されない代表的なデータには、以下のようなものがあります。
- モバイルSuicaやPASMOなどの交通系ICアプリ
- Google Authenticatorなどの2段階認証アプリ
- 一部のゲームアプリのデータ
- Apple Payに登録したカード情報
- Face ID/Touch IDの登録情報
- VPN・Wi-Fiのパスワード(条件により)
- 一部のメールアカウント設定や証明書
これらのデータは、セキュリティ保護の観点から「手動で再設定」が必要です。特に認証系アプリや決済関連アプリは、個人情報を保護するため、自動転送が制限されています。
モバイルSuicaやPASMOの再設定方法
モバイルSuicaやPASMOなどの交通系ICアプリは、古いiPhone側でいったんカード情報を削除する必要があります。削除してもサーバーにデータは保存されているため安心です。
再設定手順
- 古いiPhoneでウォレットアプリを開く
- SuicaまたはPASMOのカードを選択
- 「…」ボタンから「カードを削除」を選択
- 新しいiPhoneでウォレットアプリを起動
- 「+」→「以前ご利用のカード」を選択
- 追加したいカードを選んで再登録
再設定後、残高や定期券情報も自動的に復元されます。旧端末で削除せずに移行するとエラーが出ることがあるため注意が必要です。
2段階認証アプリ(Google Authenticatorなど)の引き継ぎ
2段階認証アプリは、セキュリティの都合上、データを自動移行できません。必ず旧端末でエクスポート作業を行い、新端末でインポートします。
Google Authenticatorの場合
- 旧端末でアプリを開き、右上の「…」をタップ
- 「アカウントのエクスポート」を選択し、引き継ぎたいアカウントを選ぶ
- 画面に表示されたQRコードを新しいiPhoneで読み取る
- 新端末のAuthenticatorでアカウントを確認
この手順を行わずに旧端末をリセットしてしまうと、認証コードが使えなくなり、サービスへのログインができなくなる恐れがあります。
ゲームアプリやSNSアプリの個別データ引き継ぎ
ゲームアプリやSNSは、アプリごとに引き継ぎ方法が異なります。代表的な例を以下に挙げます。
- LINE:
トーク履歴をバックアップしてから新端末でログイン。LINEアカウントと電話番号を紐付けておくとスムーズに移行可能です。 - モンスターストライクやパズドラなどのゲーム:
各アプリの「データ引き継ぎ」メニューから、IDやパスワードを発行しておきます。 - InstagramやX(旧Twitter)などのSNS:
ログイン情報はサーバー管理されているため、再ログインで利用再開可能です。
Apple Payと認証情報の再登録
Apple Payに登録していたクレジットカードや電子マネー情報は、セキュリティのため新しい端末に引き継がれません。
新しいiPhoneでウォレットアプリを開き、カード情報を再登録します。カード番号や認証コードを再入力し、銀行またはカード会社の認証を完了させてください。
また、Face ID/Touch IDの情報も端末固有データとして保存されるため、再設定が必要です。
「設定」>「Face IDとパスコード」または「Touch IDとパスコード」から、再登録を行います。
VPNやWi-Fi設定の再入力が必要な場合
Wi-FiのパスワードやVPN設定は、条件によっては自動転送されないことがあります。特に企業ネットワークや大学など、証明書を使う接続環境では再設定が必要です。
設定メニューから新しい接続情報を再登録しましょう。
個別設定を効率よく行うポイント
- Apple IDでログイン後、「設定」>「Apple ID」>「iCloud」を開いて同期項目を確認
- App Storeの「購入済み」タブから未インストールアプリをまとめて再ダウンロード
- 各アプリで「ログイン状態を保持する」設定が有効か確認
- データ移行前にメモやパスワード管理アプリに必要情報を控えておく

クイックスタートで自動移行できない部分を理解しておくと、初期設定の時間を大幅に短縮できます。特に認証系や決済系アプリは早めに再設定しておくのがおすすめですよ
クイックスタート以外のデータ移行方法もチェック
クイックスタートが使えない場合や、データ移行が途中で止まってしまうケースでも、iPhoneやiPadのデータを安全に引き継ぐ方法はいくつかあります。ここでは、代表的な3つの方法を紹介します。
iCloudバックアップを利用する方法
iCloudを使えば、Wi-Fi環境があればPCなしでバックアップからデータを復元できます。
新しい端末での初期設定中に「Appとデータ」画面が表示されたら、「iCloudバックアップから復元」を選択します。
手順は次のとおりです。
- 古い端末で「設定」→「ユーザー名」→「iCloud」→「iCloudバックアップ」を開く
- 「今すぐバックアップを作成」をタップして最新のバックアップを作成
- 新しい端末の初期設定で「iCloudバックアップから復元」を選択
- Apple IDでサインインし、直近のバックアップを選択
- 復元が完了するまでWi-Fiに接続したまま待機
この方法は、端末が手元にない場合や、故障でクイックスタートが使えないときにも有効です。
iTunes(Finder)でのバックアップ・復元方法
パソコンを使う場合は、より細かくデータを管理できるiTunes(またはmacOS Catalina以降のFinder)を利用するのが便利です。
- パソコンにiPhoneを接続
- iTunesまたはFinderを起動し、デバイスを選択
- 「今すぐバックアップ」をクリック(パスワード付き暗号化を選択すると、アプリの設定やパスワードも保存可能)
- 新しい端末を接続し、「バックアップから復元」を選択
- 保存したバックアップを選んで復元を開始
iTunesを使った方法は、通信環境に左右されず短時間で完了できるのがメリットです。
Androidからの移行には「iOSに移行」アプリ
Android端末からiPhoneへ乗り換える場合は、Apple公式の「iOSに移行」アプリを利用します。
Google Playストアでアプリをインストールし、両端末を同じWi-Fiに接続した状態で操作します。
- Android側で「iOSに移行」アプリを起動
- 新しいiPhoneの初期設定で「Appとデータ」画面を開き、「Androidからデータを移行」を選択
- iPhoneに表示されたコードをAndroidに入力
- 転送したいデータ(連絡先・メッセージ・写真など)を選択
- 転送が完了するまで両端末を近くに置いたまま待機
LINEやGoogleフォトなど、一部のアプリは個別に設定が必要な場合があります。
キャリアやApple Storeの店頭サポートを利用する方法
自分での操作に不安がある場合は、キャリアショップやApple Storeのサポートを利用するのも有効です。
店舗ではスタッフがデータ移行の手順を代行・補助してくれるため、バックアップに不安がある人にも安心です。
ただし、混雑を避けるために事前予約をおすすめします。

クイックスタートが使えないときも慌てずに、環境や目的に合った移行方法を選べば大丈夫です。どの方法でも共通して大切なのは「最新のバックアップを取っておくこと」です。焦らず確実に進めていきましょう。
安全にデータを移行するための注意点
バックアップを事前に作成しておく
クイックスタートを使う前に、必ず旧端末のバックアップを作成しておきましょう。転送途中でエラーが発生した場合や、データの一部が欠損してしまった場合でも、バックアップがあれば復元できます。
iCloudバックアップは「設定」→「ユーザ名」→「iCloud」→「iCloudバックアップ」で簡単に作成可能です。iTunes(Finder)を使ってパソコンに保存しておく方法も有効です。バックアップを取ってからデータ移行を始めることで、想定外のトラブルにも落ち着いて対応できます。
Apple IDやパスコードを確認しておく
データ移行の過程でApple IDのサインインやパスコードの入力が必要になります。あらかじめこれらの情報を確認し、正しく入力できるようにしておきましょう。
特に以下の項目は忘れがちです。
- Apple IDとパスワードのメモを控えておく
- Face ID・Touch IDなどの認証方法を確認
- 2段階認証アプリ(Google Authenticatorなど)の設定を確認
認証がスムーズにいかないと移行が途中で止まる場合があるため、必ず事前に確認しておきましょう。
eSIMやモバイル通信設定の確認
クイックスタートで通信設定(eSIM)を移行する場合、キャリアによって転送手順や対応時間が異なることがあります。特にオンライン手続きが必要なキャリアを利用している場合は、移行前に確認しておくと安心です。
転送時の注意点:
- 両方の端末をWi-Fiに接続し、安定した通信環境で行う
- 電源が切れないように充電ケーブルを接続しておく
- eSIMの転送は通信が不安定だと失敗することがあるため、可能であれば自宅など静かな場所で実施する
通信・電源環境を安定させる
クイックスタートのデータ移行は、Wi-FiとBluetoothを使ったワイヤレス通信で行われます。転送中に通信が途切れたり、電源が落ちたりするとエラーの原因になります。
安全に進めるためには次の点を守りましょう。
- 両方のiPhoneを電源に接続しておく
- 転送完了まで近くに並べて置く
- 公共のWi-Fiではなく、家庭用Wi-Fiなど安定した回線を利用する
- 転送中にアプリの操作や通話を行わない
ストレージ容量を確認し、不要なデータを整理する
新しいiPhoneのストレージが不足していると、クイックスタートの転送が途中で止まることがあります。旧端末のデータ容量が多い場合は、不要な写真やアプリを削除しておきましょう。
「設定」→「一般」→「iPhoneストレージ」から容量を確認できます。転送前に整理しておくことで、よりスムーズに移行できるうえ、新しい端末の動作も軽くなります。
移行後の旧端末の扱いにも注意
クイックスタートが完了したら、データがすべて移行されているかを確認したうえで、旧端末の初期化を行いましょう。すぐに初期化せず、数日ほど新しい端末の動作を確認してからデータ削除するのがおすすめです。
初期化の前には、Apple IDからサインアウトし、「iPhoneを探す」をオフにしておくことで、次の所有者が問題なく利用できるようになります。
セキュリティ面での注意
クイックスタートはApple公式の安全な機能ですが、セキュリティリスクを避けるためにも次の点を意識してください。
- 転送は人の少ない場所で実施する
- 不要な共有設定やクラウド同期は一時的にオフにする
- 公共Wi-Fiでは行わない
- 脱獄(Jailbreak)端末では使用しない

クイックスタートでのデータ移行はとても便利ですが、「バックアップ・認証確認・通信環境・容量チェック」の4つを押さえておくことが何より重要です。焦らず丁寧に進めれば、安全に新しいiPhoneへ移行できますよ。
クイックスタートがうまくいかないときの最終手段
クイックスタートを試してもデータ移行が途中で止まったり、何度試しても転送が完了しない場合は、別の方法で確実にデータを復元できます。ここでは、最終手段として有効な3つの方法を紹介します。
iCloudバックアップからの再復元を試す
まずは「iCloudバックアップ」からの復元を試してみましょう。クイックスタートがうまくいかない原因の多くは、Wi-Fi接続の不安定さやBluetooth干渉などによる通信エラーです。iCloudに保存されているバックアップから復元すれば、安定した通信環境でやり直すことができます。
手順:
- 新しいiPhoneを初期化する(「設定」>「一般」>「転送またはiPhoneをリセット」>「すべてのコンテンツと設定を消去」)。
- 再起動後の初期設定画面で「アプリとデータ」画面に進む。
- 「iCloudバックアップから復元」を選択。
- Apple IDでサインインし、最新のバックアップを選択。
- Wi-Fiに接続したまま復元が完了するまで待つ。
この方法では、写真・連絡先・アプリ設定など主要なデータをほぼ元の状態に戻せます。ただし、バックアップを取った日以降のデータは含まれないため、事前にバックアップの日時を確認しておきましょう。
iTunes(Finder)経由でバックアップを再構築する
iCloudにバックアップがない、または容量が不足している場合は、パソコンを使ってiTunes(またはFinder)でデータを復元できます。USB接続のため通信トラブルの影響を受けにくく、より確実な方法です。
手順:
- 古いiPhoneをLightningケーブルでパソコンに接続。
- iTunes(またはFinder)を起動し、「今すぐバックアップ」を実行。
- バックアップが完了したら新しいiPhoneを接続。
- 「このバックアップから復元」を選び、最新のバックアップを指定。
- 復元が完了するまでケーブルを抜かずに待機。
この方法なら、アプリデータや設定情報も細かく復元可能です。特に大容量データを扱う場合や、Wi-Fi環境が不安定な場合に最適です。
Appleサポートやキャリアショップで相談する
iCloudやiTunesでもうまくいかない場合は、Appleサポートや契約中のキャリアショップでの相談が確実です。専門スタッフが端末の状態を直接確認し、データの復旧や再設定をサポートしてくれます。
相談時に準備しておくもの:
- 古いiPhoneと新しいiPhoneの両方
- Apple IDとパスワード(またはメモ)
- バックアップを取った際に使ったPC(iTunes利用時のみ)
- 本人確認書類(ショップ対応の場合)
また、Apple Storeやキャリアによっては、データ移行サポートを店頭で代行してくれる有料サービスもあります。自力での復元が難しい場合は積極的に利用しましょう。
それでも復元できない場合の最終確認ポイント
- 両方の端末で同じApple IDを使用しているか確認する
- 二段階認証コードを求められた場合、旧端末で受け取れるか確認する
- VPNやセキュリティアプリを一時的にオフにしてから再試行する
- eSIM転送時間(1:00〜2:50、7:00〜23:50)外で行っていないか確認する
これらをすべて確認しても進まない場合は、端末内部のシステムエラーが考えられるため、Apple公式での診断が必要です。

クイックスタートがうまくいかないと焦る方も多いですが、慌てずにiCloudやiTunesでの復元を試すことで、ほとんどのケースは解決できます。手順を飛ばさず確実に進めれば、データを失うリスクは最小限に抑えられますよ


