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会社を辞めると決めたものの、退職届や退職願をどう書けばよいのか分からない。宛名は誰にするのか、日付はいつを書くのか、そもそも退職届と退職願のどちらを出すべきなのか——初めての退職では迷うことばかりです。
この記事では、退職届・退職願の一般的な書き方を例文つきで説明します。あわせて、書き方の前提になる「退職のルール」を、厚生労働省の「確かめよう労働条件」や各地の労働局のよくあるご質問(2026年10月6日時点)に沿って整理します。最初に押さえておきたいのは、退職届・退職願の書式は法律で決まっているわけではなく、会社に指定の書式や就業規則の定めがあればそれが優先されるという点です。そのうえで、多くの会社で通用する基本の形を紹介します。
目次
退職願・退職届・辞表の違い
会社を辞めるときに出す書類には、主に「退職願」「退職届」「辞表」の3つがあります。名前は似ていますが、意味が違います。
- 退職願:「退職させてください」と会社にお願いする書類です。会社が承諾して初めて退職が決まる、という性質を持ちます。
- 退職届:「退職します」と一方的に意思を伝える書類です。退職が決まっている場合や、退職の意思を確定的に伝えたい場合に使われます。
- 辞表:一般に、会社の役員や公務員が職を辞するときに使われる書類です。一般の従業員が会社を辞めるときは、退職願か退職届を使うのが通常です。
厚生労働省の「確かめよう労働条件」の退職、解雇、雇止めなどのページでは、労働契約の終了の仕方として「合意退職(合意解約)」と、労働者からの「任意退職(辞職)」が区別されています。そして、労働者からの退職の申し込みは「退職願」の提出という形式で行われることが多いと説明されています。
つまり、退職願は「会社との合意で辞める」ための書類、退職届は「自分の意思で辞めることを伝える」ための書類と考えると分かりやすいでしょう。退職願と退職届の違いや使い分けをさらに詳しく知りたい場合は、退職願と退職届の違い完全ガイドもあわせて参考にしてください。

退職願は「お願い」、退職届は「届け出」です。どちらを出すかで、撤回できるかどうかも変わります。


退職を自分で切り出すのが難しい場合は、本人に代わって意思を伝える退職代行という方法もあります。
書く前に確認すること:就業規則と退職日の決め方
退職届を書く前に、退職日を決めておく必要があります。そのときに確認したいのが、法律上のルールと、会社の就業規則です。
大阪労働局のよくあるご質問(退職・解雇・雇止め)では、民法では期間の定めのない雇用契約についてはいつでも解約の申入れをすることができ、解約の申入れの日から2週間で終了するとされているので、会社の同意がなければ退職できないというものではない(民法第627条)、と説明されています。
一方、多くの会社では就業規則に「退職の申し出は退職日の1か月前までに」といった定めがあります。茨城労働局のよくあるご質問では、就業規則に退職の申出期間の定めがあり、その期間が社会通念上著しく長期間でない場合(例えば1か月前までの申出を規定している場合など)には、トラブル防止のために、まずは就業規則の定めに沿った申出をしたほうがよい、と案内されています。
注意したいのは、契約期間の定めがある働き方(有期労働契約)の場合です。「確かめよう労働条件」では、契約期間満了前に退職しようとする場合には、やむを得ない事由がなければならない(民法第628条)とされています。契約社員やアルバイトで契約期間が決まっている人は、契約書の期間を確認してから退職日を考えましょう。
また、月給制のように期間で報酬が決められている場合については、茨城労働局のよくあるご質問(事業主向け)で、賃金計算期間の前半に退職を申し入れた場合はその賃金計算期間の末日に退職でき、後半に申し入れた場合は翌計算期間以降の退職になる、という民法の考え方が紹介されています。給与の締め日と退職日の関係は、退職日を決める前に確認しておくと安心です。
退職日を決めたら、最終出社日も考えておきましょう。残っている年次有給休暇を退職日までに使いたい場合は、引き継ぎの期間とあわせて上司と早めに相談しておくと、退職届に書く日付で迷わずに済みます。

退職日を決める前に、就業規則の「何日前までに申し出るか」を必ず確認しましょう。
主な退職代行サービスの条件を並べました。運営元と対応範囲を横にスクロールして確認できます。
| 退職代行 | 退職代行 | 退職代行サラバ(SARABA) | やめたらええねん | 退職代行ニコイチ | |
|---|---|---|---|---|---|
| 運営会社 | 弁護士法人みやび | 弁護士法人みやび | スムリエ | 熱狂スタイル | ニコイチ |
| ポイント | 法的対応が必要な方に最適。費用や連絡手段には注意が必要 | 法的対応が必要な方に最適。費用や連絡手段には注意が必要 | 費用は安めだが、支払い案内が早く安心感にやや欠ける | LINE完結で格安。費用重視派におすすめの選択肢 | 有給交渉に強いが、サービス範囲の確認は事前に必要 |
| 料金 | 27,500円~ | 27,500円~ | 24,000円~ | 16,500円~ | 27,000円~ |
| タイプ | 弁護士事務所 | 弁護士事務所 | 労働組合 | 民間業者 | 民間業者 |
| 支払いタイミング | 前払い | 前払い | 前払い | 前払い | 前払い |
| 支払い方法 | クレジットカード、銀行振込 | クレジットカード、銀行振込 | クレジットカード、銀行振込 | クレジットカード、銀行振込 | クレジットカード、銀行振込、モバイル決済 |
退職代行の主要サービスを抜粋。出典:各社公式サイト(2026年10月6日確認)。表は横にスクロールできます。
退職届の書き方と例文(縦書き)
退職届に決まった書式はありませんが、一般的には白い便箋に黒のボールペンや万年筆で、縦書きで書くことが多いとされています。基本の構成は次のとおりです。
- 表題:1行目の中央に「退職届」と書きます。
- 書き出し:2行目の下のほうに「私儀」(わたくしぎ)または「私事」と書きます。
- 本文:退職理由、退職日、退職する旨を書きます。自己都合退職の場合、理由は「一身上の都合により」とするのが一般的です。
- 届出日:書類を提出する日付を書きます。
- 所属と氏名:所属部署と氏名を書き、会社の慣習に応じて押印します。
- 宛名:会社の正式名称と、最高責任者(代表取締役社長など)の役職と氏名を、自分の氏名より上の位置に書きます。宛名に「殿」を付けるのが一般的です。
例文は次のようになります。
退職届
私儀
このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。
令和〇年〇月〇日
〇〇部〇〇課 氏名(押印)株式会社〇〇
代表取締役社長 〇〇〇〇殿
退職届は「退職します」という確定的な意思を伝える書類なので、文末は「退職いたします」と言い切るのが一般的です。退職日は、上司と相談して決めた日、または就業規則や民法のルールに沿って決めた日を書きます。

退職届は「退職いたします」と言い切る形です。日付と宛名の書き間違いがないか見直しましょう。

書類を書いても直接渡せそうにない場合は、弁護士が対応する退職代行も検討できます。
退職願の書き方と例文
退職願の構成は退職届とほぼ同じですが、表題と文末が違います。会社にお願いする書類なので、文末は「お願い申し上げます」とするのが一般的です。
退職願
私儀
このたび、一身上の都合により、勝手ながら、令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
令和〇年〇月〇日
〇〇部〇〇課 氏名(押印)株式会社〇〇
代表取締役社長 〇〇〇〇殿
退職願は、退職日についてまだ会社と話し合いの余地がある段階で出すことが多い書類です。厚生労働省の「確かめよう労働条件」では、合意退職は会社の承諾を得なければ労働契約を終了させることができないので、会社が退職を承認しなければ、いつ退職できるか分からない状態になるおそれがある、という趣旨の注意も書かれています。
退職日を確実に決めたい場合は、上司との話し合いで退職日を合意してから退職届を出すか、退職の意思を明確にした退職届を出すかを検討します。どちらを出すべきか迷う場合は、会社に指定の書類があるかを人事担当者に確認するとよいでしょう。
なお、会社の都合による退職(退職勧奨に応じる場合など)では、理由を「一身上の都合」と書くと自己都合退職と受け取られるおそれがあります。会社から退職を勧められた場合は、書き方を含めて慎重に判断してください。

退職を勧められて辞める場合に「一身上の都合」と書くと、自己都合扱いになるおそれがあります。
退職日や有給休暇の扱いで話し合いが必要な場合は、交渉に対応できる運営元かどうかを確認しましょう。
横書き・パソコン作成・テンプレートを使う場合
退職届は手書きの縦書きでなければならない、という法律上の決まりはありません。会社によっては、横書きの書類やパソコンで作成した書類、社内の申請システムでの届け出を求めている場合もあります。
横書きで作る場合も、含める項目は縦書きと同じです。
- 表題(退職届/退職願)
- 宛名(会社名・代表者の役職と氏名)
- 届出日
- 所属部署・氏名
- 本文(退職理由・退職日・退職する旨)
横書きでは、宛名を左上、届出日と所属・氏名を右側に置く形が一般的です。パソコンで作成した場合でも、氏名だけは自筆で署名する人もいます。
インターネット上には無料のテンプレートも多くありますが、テンプレートをそのまま使う前に、会社に指定の様式がないかを確認しましょう。指定の様式がある場合は、それに従って提出するのが最もトラブルになりにくい方法です。テンプレートを使う場合は、表題が「退職届」か「退職願」か、文末が自分の意図に合っているかを確認してください。
書いた書類は、三つ折りにして白い封筒に入れて提出するのが一般的です。封筒の書き方や入れ方は、退職届を封筒で提出するときのマナーで詳しく解説しています。

会社に指定の様式やシステムがあれば、それに従うのが一番です。テンプレートは表題と文末を確認しましょう。
退職代行の選び方や口コミを詳しく知りたい場合は、比較記事も参考にしてください。
提出のタイミングと渡し方
退職の意思は、まず直属の上司に口頭で伝え、退職日などを話し合ったうえで書類を提出する流れが一般的です。いきなり書類を人事部や社長に送るのではなく、上司と相談する場を設けたほうが、引き継ぎもスムーズに進みます。
「確かめよう労働条件」では、任意退職しようとする場合には、会社として仕事の引き継ぎやその後の人員体制の検討などが必要になるため、予告期間も置かずに即時に退職すると会社の業務運営に支障が出かねない、と説明されています。そのうえで、就業規則などで退職手続がどう定められているかを確認し、ルールを守った適切な退職手続をとることがトラブルを避けるために大切だとされています。
上司が退職届を受け取ってくれない、退職を認めないと言われた、というケースもあります。大阪労働局のよくあるご質問では、正社員として勤務している人の退職願を上司が受け取らない事例について、期間の定めのない雇用契約であれば、会社の同意がなければ退職できないというものではないと回答されています。
受け取ってもらえない場合に、退職の申し入れをした日付を記録として残す方法としては、郵送で提出することも考えられます。ただし、話がこじれている場合は、次の章で紹介する相談窓口に早めに相談するほうが安心です。

まずは直属の上司に口頭で伝えるのが基本です。受け取ってもらえないときは一人で抱え込まないでください。
退職届を受け取ってもらえないなど話が進まない場合は、第三者に間に入ってもらう方法もあります。
提出したあとに撤回できる?
退職届や退職願を出したあとで、「やっぱり辞めたくない」と思うこともあるでしょう。撤回できるかどうかは、出した書類の性質によって変わります。
「確かめよう労働条件」では、次のように説明されています。
- 合意退職の申し込み(退職願など):使用者が承諾するまでの間は、その申し込みを撤回できます。退職願を提出した場合には、会社の承諾があるまでは撤回することが可能と考えられます。
- 会社が承認した後、または任意退職の申し入れをした後:どうしても撤回したい場合には、会社の同意を得ることが必要になります。
同じページでは、いずれにしても退職の意思表示は容易には撤回が認められないので、慎重に検討したうえで行うことが大切だとまとめられています。
特に退職届は、退職の意思を確定的に伝える書類です。提出してから気持ちが変わっても、会社が同意しなければ撤回できない可能性があります。迷いがあるうちは、書類を出す前に上司と話し合う、家族や信頼できる人に相談するなど、時間をかけて判断することをおすすめします。

退職届は出したら簡単には撤回できません。迷っているうちは提出を急がないようにしましょう。

撤回や退職日をめぐって会社ともめそうな場合は、法的な対応ができるサービスを選ぶと安心です。
自分で伝えにくいときの相談先
退職を言い出しにくい、引き止めが強くて話が進まない、上司と顔を合わせるのがつらいという状況では、一人で抱え込まずに相談先を使いましょう。
- 総合労働相談コーナー:各都道府県の労働局や労働基準監督署に設けられている、厚生労働省の相談窓口です。退職をめぐるトラブルを含め、労働問題の相談ができます。
- 弁護士:未払い賃金の請求や損害賠償をめぐる争いなど、法的な交渉が必要な場合に相談します。
- 退職代行サービス:本人に代わって会社に退職の意思を伝えるサービスです。運営元が弁護士、労働組合、民間企業のどれかによって、会社と交渉できる範囲が違います。
退職代行を検討する場合は、料金だけでなく、運営元の種類と対応範囲を確認することが大切です。民間企業が運営するサービスは、会社との交渉を行うと弁護士法に触れるおそれがあるとされています。違いについては、退職代行と非弁行為の基礎知識で詳しく解説しています。
この記事で紹介した書き方は一般的な例で、会社ごとに指定の様式やルールがある場合はそちらが優先されます。法律上のルールは、厚生労働省「確かめよう労働条件」や各地の労働局の案内(2026年10月6日時点)に基づいています。個別の事情で判断に迷う場合は、総合労働相談コーナーなどの専門の窓口に相談してください。

退職を言い出せないときは、労働局の相談窓口や退職代行など、頼れる手段があります。
最後に、利用を考えている退職代行の料金と対応範囲を公式サイトで確認しておきましょう。
参考にした公式情報

